北海道林産技術普及協会創立50周年をお祝いして

北海道知事 堀 達也

 

 北海道林産技術普及協会が創立され、50周年を迎えられましたことを、心からお祝い申し上げます。

北海道林産技術普及協会は、昭和28年、林産工業会の有志により設立されて以来、木材加工技術の向上及び普及に貢献し、木材産業の振興に大きな役割を果たしてこられました。特別講演会やイベントの開催、普及誌の発行、林産試験場との連携による研究成果の発表など様々な普及活動を通して、研究機関と業界との橋渡し役を担われ、本道の豊かな森林から産出される木材の加工・利用技術の向上、木材産業の振興に多大な功績を残されてきたことに、深く敬意を表するとともに、厚くお礼申し上げます。

 さて、一昨年に森林・林業基本法が制定され、森林の有する多面的機能の発揮と林業の持続的かつ健全な発展が森林・林業政策の基本理念に位置づけられました。この理念の実現のためには国民の需要に即した林産物の供給と利用の促進が図られるべきとして、林産物の供給及び利用の確保に関する施策が林政の3大施策のひとつに掲げられたところです。

 また、道においても昨年3月に全国の都道府県に先駆けて「北海道森林づくり条例」を制定し、林業及び木材産業等の健全な発展を基本理念として位置づけるとともに、本年3月に制定した北海道森林づくり基本計画の中で、木材産業等の健全な発展を図るために、林産物の新たな需要の開拓、木材・木製品の利用の促進、木材産業の体質強化等の施策を促進することとしました。

 このような中で、木材産業については、住宅着工の減少による木材需要の減退や輸入木材の増加などにより厳しい状況が続いていますが、近年、地球温暖化防止の観点から木材及び木質バイオマスの利用の推進が提唱され、「地球温暖化対策推進大綱」や「地球温暖化防止森林吸収源10ヵ年対策」においてその必要性が明記されるようになってきました。

 もとより、木材は再生産可能な資源であり、これを有効に利用していくことは、森林整備の促進にとどまらず、環境負荷が少ない循環型社会の形成にもつながるものであることから、地域材の利用を一層積極的に進めることが重要であり、道としても公共事業での利用促進をはじめ、各般の施策を展開しているところです。

 貴協会におかれましては、今後とも、林産物の新たな加工・利用技術の開発や普及等を通して、木材産業の振興に貢献され、環境調和型産業である林業・木材産業の将来を切り開いていただきますよう心からご期待申し上げます。

 最後に、今後とも北海道林産技術普及協会及び貴協会会員の皆様方の一層のご発展を心から祈念申し上げて、お祝いの言葉といたします。