創立50周年にあたって

社団法人北海道林産技術普及協会長 高橋 秀樹


 このたび、会員各位、林産試験場をはじめ関係機関のご指導、ご協力をいただき、北海道林産技術普及協会が創立50周年を迎えることは誠に意義深く、喜びにたえません。
 そして、当協会の半世紀の歩みを記念CDとして発行するに至りましたことを心よりうれしく思いますとともに、寄稿を賜った関係各位に感謝申し上げます。

 当協会は、北海道立林業指導所(現、林産試験場)と連携を保ち、北海道における林産工業技術の向上及び普及、併せて会員相互の親睦を図ることで事業の振興に寄与することを目的に、木材産業界の有志によって昭和28(1953)年9月に設立されました。

 北海道の代表的な研究機関である北海道立林産試験場は、昭和25(1950)年、戦後の本道の復興には木材産業の発展が必要であり、そのために北海道独自の木材研究機関の設立が不可欠との考えにより旭川に設立されました。北海道の大雪山系には豊富な木材資源があり、その資源を背景にして山系の裾野広く、多くの造材業、製材工場、合板工場そして家具工場が生産活動を始めておりました。当時、木材の加工技術や木材の材質的知識を最も必要としていた地域として、ここ旭川に設置が決まったと思われます。

 そして必然的に、この林産試験場の研究成果や開発技術を全道、全国の木材産業界に広く普及し、また業界からの要望や課題を試験場に伝えること、さらに行政機関との連携を図る機関団体等が必要となってきました。北海道林産技術普及協会はこの役割を果たすべく、試験場設置3年後に設立されたのであります。いわゆる林産試験場の応援団ともいえる組織であります。

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 当時、林産試験場と北海道林産技術普及協会を立ち上げた北海道の研究者、行政マン、そして木材業者の熱い情熱とその先見性に、心より敬意を表したいと存じます。そして、この50年間、地道な研究とたゆまぬ技術開発を続け、木材産業の発展にご尽力された試験場や林産技術普及協会の先輩、現役の皆様に感謝を申し上げたいと存じます。
 
 さて、21世紀の現在、世の中は大きく変わりました。わが国の木材資源は天然林材が枯渇して広葉樹は小径木、針葉樹は人工林からの小径木、間伐木が主流となり、樹種に注目すると道内ではカラマツ、トドマツが、本州では間伐スギが主流になりました。製品もKDと集成材が当たり前の時代です。

 しかしながら、多くの新興発展諸国からの輸入品ラッシュで木材製品デフレをもたらし、このままでは、わが国内において木材資源を利用した木材製造業が成り立たないところまで来ております。これからは、国家的レベルで山づくりから製品化までの循環システムづくりが重要な課題と思います。一方、生活面では優良住宅のための製品保証制度と健康のための安全性が最重要課題となっております。

 今後の林産試験場には、この循環システムの中での人工林資源の有効活用と加工コストの低減及び木材廃棄物の再利用やエネルギー利用などの技術開発、製品保証面では基礎資料による耐久性能、構造計算による強度性能の明示、健康面ではVOCやホルムアルデヒドの測定システムの確立や無害化の研究など、幅広い役割が期待されるところです。

 昨年、小柴さん、田中さんがノーベル賞を受賞し、あらためて、今後の日本に必要なのは研究と技術開発であると認識したところであります。その意味で、林産試験場の役割は益々大きくなるといえます。わが社団法人北海道林産技術普及協会は、北海道立林産試験場がより活躍できる環境づくりと、木材産業界の要望を汲み取るべく、誠意努力してまいります。今後ともよろしくお願いいたします。