−ウッデイ エイジ No.572(2001年4月号)−
樹 木 が 答            パトリック ム−ア

(社)北海道林産技術普及協会 伊藤勝彦訳

 

 この記事は,フォ−レスト プロダクツ ジャ−ナル(FOREST PRODUCTS JOUNARL  米誌)2000年10月号に掲載されていた論説を紹介する。

 著者のパトリック ム−ア氏はカナダB.C州バンク−バに本拠を置くグリ−ンスピリッツに所属する環境政策と広報を専門とするコンサルタントであり,この論説は,著者がフォレストプロダクツ ソサイティの年次大会で行った基調講演を元に書かれたものであると紹介されている。

 変 遷

 私は,バンク−バ−島北西端にあるウインタ−・ハ−バ−という漁業と林業の小さな村で生まれ,育ちました。

 14歳でバンク−バ−の寄宿学校に入るため島を離れ,最終的にブリテッシュ・コロンビア大学に通い,生命科学:生態学,林学,遺伝学を学びました。

 私は生態学者として生まれ変わり,1960年代の後半には,私は過激な環境論者に変身していました。気が付くと,私は,アメリカによるアラスカでの水爆実験に抗議運動を計画する同志と共に,バンク−バ−の教会の地下室にいました。私たちは,水漏れするオヒョウ漁船を操り,北太平洋を渡って,歴史の流れを変えようと企てました。カナダとアメリカの全国的なテレビニュ−スに載り,核実験反対の大きなうねりを築きました。1971年11月あの爆弾が発射され,これが惑星地球上で爆発させた最後の水爆となりました。連続して4回以上の実験が計画されていたにもかかわらず,ニクソン大統領は,大衆の反対によって,それを取りやめました。これがグリ−ンピ−スの誕生でした。

 1980年代半ばには,グリ−ンピ−スはあの教会の地下室から,年間1億ドルの収入,21ヵ国に事務所,有害な廃棄物,酸性雨,ウラン採鉱,流し網漁法など,世界中で 100を越える運動を持つ組織に成長しました。私たちは,社会の多数派を首尾よく見方に引き入れることが出来ました。大統領や首相は日常的に環境について話すようになった。

 そのことが私を変えました。私はそれまで15年間毎日少なくとも3〜4つの事柄に反対していました。私は対決の政治運動から共感を作り上げる政治運動へと転換しました。

 あらゆる社会運動は偏見と対立という段階から展開します。新しい運動の価値を住民の大多数が認めたならば,和解の時がやって来ます。環境運動についてはこの変化かが1980年代に起こり始めました。持続可能な開発という言葉は,私たちが普及させた新しい環境価値と,常に世間の考え方や日常の振る舞いを支配してきた因習的な社会的,経済的価値とを,結合させようと採用したものです。私たちの行動の基盤を全て環境価値に置き換えることは簡単には出来ません。毎日,60億の人々が食糧,エネルギ−,原材料を切望しています。持続性への挑戦は環境負荷を減らす方向で,これらの要望に応えることです。しかし,いかなる変革も,社会的喜ばれるものであり,技術的にも,経済的にも可能なものでなければなりません。常に環境的,社会的,経済的優先権のバランスをとることは容易ではありません。政治,産業,学会を巻き込んだ歩み寄りと協力,そして環境運動は持続性を達成することが要求されます。

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 生物多様性論

 森林は現存する種の大多数にとっての住処です。大海ではなく,草原でもなく,山岳地帯でもなく,樹木が支配する生態系です。樹木の生体は,それ自身が存在しないと成立しない,新しい環境を創ります。かって薄い空気しかなかった上空は,いまや多数の鳥や昆虫の住処です。そして,大空の下,森林の内部は霜,日光や風から守られています。森林は葉,果実そして樹木の木部さえ食糧として供給され,生きた樹木でなければ決して存在しない種,新しい種が展開できる数多くの棲息場所を創り出します。樹木を切り倒すと,そこに棲息いていた種は棲息場所失い,死んでしまうという,懸念を抱かせます。実際に1996年に世界野生生物基金がジュネ−ブのメディア会議で,人為によって毎年5万種が絶滅していると発表しました。彼らは,この5万種の絶滅の主な原因は商業伐採であるといっています。この話は,米国連合通信(AP)や他のメディアによって,世界中に報道されました。そして数億人の人々は,林業が種絶滅の主原因であると,信じてきました。私は,木材伐出によって絶滅したであろう幾つかの種のリストを提供するよう,幾度も要求しました。彼らは証拠として何一つ提示しませんでした。事実,私たちの科学的情報の及ぶ限りでは,林業によって絶滅した種は北米にはありません。

 人類は種の絶滅を決して起こさないということはありません。人類が種の絶滅をもたらす三つの行動があります。

 一番目は,おそらく最も目立つもので,槍,こん棒やライフル銃で簡単に殺しています。旅行ばと,ド−ド−鳥,カリフォルニアオーム,そして遡れば,マンモス,マストドンは,食料としてあるいは病気に罹るかいずれかで,簡単に消された種の実例です。

 二番目は農業のための広大な天然林の伐採です。今はどこにも見あたらない谷底には,多分ランが生えていたことでしょう。森林が根こそぎ伐採され,焼かれ,耕され,コ−ンが植えられると,ランは永久に消滅します。

 三番目は,実際に過去 200年間での人類による種絶滅の過半の原因ですが,外来の食用動物や病気の持ち込みです。ヨ−ロッパ人がオ−ストラリア,ニュ−ジ−ランドそしてハワイを含む他の太平洋諸島に植民地を作った時,彼らは,病気を持ったネズミ,ネコ,キツネ,ブタ,ヒツジ,ヤギ,ニワトリ,ウシその他の自国の動物や植物を持ち込みました。其の結果,数百の地中を住処とする有袋動物,飛べない鳥その他の多くの種が絶滅しました。

 私たちはただ1種さえ林業によって絶滅させられたのを知らないが,この3つの人類の行動によって絶滅させられた多くの種のリストがあります。

 マダラフクロウは林業によって絶滅させてはならない多くの種の一つです。1990年代の初期には,国有林における造材がフクロウの絶滅を引き起こすであろうということで,30,000人の造材夫がアメリカの北西太平洋岸における作業から追い出されました。あの時からごく短い年月で,造材夫が失職した時点で考えられた以上に,ワシントン州における公有林のマダラフクロウは2倍以上に増えていることが現地調査で明らかになりました。さらに重要なことは,二次林が優先する森林でマダラフクロウが棲息し,繁殖できるということが明らかになったことです。北部カリフォルニアのシンプソン・ティンバ−社所有の50エ−カ−のレッドウッド二次林で1,000羽以上のマダラフクロウが記録された。そして今なお上流のレッドウッド林近傍での定住が報告され,太平洋北西岸の森林には数万羽のフクロウがいるという事実にかかわらず,ニュ−ヨ−クタイムズはマダラフクロウを「絶滅危惧種」として報道しました。

 ニュ−ヨ−クタイムズやナショナルジオグラフィ−といった立派な発信源によって,現にその立場を指示する証拠がないのに,一般大衆は林業が種の絶滅の主たる原因であるという印象を与えられつつあります。林業はめったに種の絶滅を引き起こさないという理由があります。私たちは,火事であれ,造材であれ,森林は破壊を回復するために,私たちの手助けを必要としていると考えがちです。もちろんこれは事実ではありません。森林は,森林ができた3億5千万年以上も前から,常に山火事,噴火,地滑り,洪水そして氷河期から何の助けもなしに自ら回復してきました。1万年前,カナダとロシアは住むもののいない,樹木もない,巨大な氷の幕で覆われていた事実を考えてください。露出した岩から生まれ変わり,今カナダとロシアは地球上の全森林の30%を占めるまでになっています。現在の温暖化傾向によって氷河が後退しているアラスカへ行ってごらんなさい。あなたはすぐに岩が日に曝されているのを見るでしょう。若木を含めて,そこに繁茂した生態系が育つまでたった80年です。

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 森林に棲息するあらゆる種が破壊から回復しつつある土地を再群居地化された地域にしなければならないのはこれからである。実際に,森林再生は,森林が蘇った時,その地に戻った個々の種の合計で評価されます。生態学では,これを分散と呼んでいます。分散は,種の自然淘汰と生き残りのために,絶対的な必要条件です。分散しなければ,種は存続しません。それ故に,森林が破壊された後は,土地だけでも残りさえすれば,森林は蘇り,そこに棲息していた種全てが回復します。

 生態学者は,より曖昧な言葉を使ってそれを撹乱とよぶようですが,「火事は常に森林破壊のすなわち森林撹乱の主な原因である。しかし,火事は自然なもので,非自然的な造材のように森林を破壊しない」と教えられました。「自然は決して造材用トラックを持ち込まないし,樹木を持ち去らない。」と。造材は他の森林撹乱の形態とは根本的に異なるということを印象づけるために,あらゆる種類の説得が行われています。これは間違いです。造材は火事とは異なったものですが,火事もまた火山とは異なったものですし,火山もまた氷河期とは非常に異なったものであるという事実です。二つと同じ火事はありません。これは種類ではなく,程度の違いです。森林は,いかななる形態の撹乱からもそうであるように,造材による破壊からも回復は可能です。再生のために必要なことは,撹乱が終わることです。火事が消え,火山が噴火を止め,氷河が後退し,造材夫が道を下って帰り,森林が再び生え戻るままにしておくことです。そうすれば,再生はほとんど直ちに始まるでしょう。

 自然による絶対的な破壊を証明するには,ワシントン州にあるセントヘレンズ山が最も良い場所です。この山は1980年に爆発し,150,000 エ−カ−以上の森林を破壊しました。その多くは,山腹に生えていた天然木でした。面白いことに,破壊された森林には明確な二つの管轄区がありました。その一つは,国が管理するギフォ−ト・ピンコット国有林という国有地で,もう一つは,ワシントン州タコマに本拠地を置く,ウエアハウザ−社が所有する私有地です。

 アメリカ政府は,破壊された国有林の一部を「自然科学の検証の場として,人の手を加えない,自然の回復に任せる場所」として,国の火山記念地に指定しました。最初の噴火から約20年経ち,火山記念地はいまだ砂漠のようでに見えます。最初の噴火によって吹き飛ばされたり,梢頭を飛ばされたりした場所に枯れ木がそのまま倒れています。その上,火山灰の厚い層が居座り,風で飛んできた種にとって厳しい,不毛の苗床となっています。スライドアルダ−のような耐久力のある,窒素固定能を持つ,わずかな植物のみが痩せた土地に根を下ろしています。

 ウエアハウザ−はまったく異なったアプロ−チを取りました。彼らは,噴火から2年以内に,3寝室住宅8万5千戸に相当する木材をその林地から回収しました。重機を持ち込み,あたりから太い丸太を引き上げることによって,あちこちで火山灰を突き破って,その下にある肥えた土壌を露出させた。これは風によって運ばれてくる種に多くの肥えた苗床を作りました。これは典型的な現地撹乱の例です。そして彼らは,火山灰を通して真下の健全な土壌に根を張るに十分なまで育成した,2年生のダグラスファ−の苗木を植えました。今日これらの苗木は20フィ−ト以上の樹高となり,2026年には伐採できそうです。国の火山記念地とウエアハウザ−の林地の差異は,火山のような自然災害後の生態系の回復を図る方法において,人間による何らかの干渉が劇的な違いを作り出すということを証明しました。

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 森林伐採状況

 私たちは子供の頃から,表紙で本を批判してはいけない,言い換えれば,美人は上っ面だけのものであると教えられてきました。しかし,いまだに私たちは騙されて,私たちの目で見たものが好きならば,それは良いものに違いない,そして嫌いならば,それが悪いものに違いないと考えます。私たちは正しいもの,不正なものという私たちの常識と,美しいもの,醜いものを見た感じと,連結させる傾向があります。シエラ・クラブは「森林の管理を誤っている−森林の管理を誤っているように見える−などという森林専門家は必要としない。それが管理を誤らせている」といいます。彼らは,最近伐採された森林の醜い外観は,環境の永久破壊と同義語だとあなたたちに信じさせたいのです。いわんや,見苦しい切り株の海は核廃棄物でも有毒な排出物でもありません,それは100%自然なもので,間もなく美しく新しい森林に蘇るはずです。森林の最近伐採された地域は,私たちの目に醜く見えるという事実は,反林業活動家の側にとって非常に効果的な印象を与えます。

 皆伐跡地はそのままでなく,再び新しい森林に生まれ変わるはずですから,一時的なものです。しかし,木材が搬出され,日の光が地面を直射しますから,木陰では決して生えない植物が生えているので擬草原です。私たちは草原と皆伐跡地を同じものと考えません。草原は樹木が育つには乾燥し過ぎた小さな荒野です。草原は乾燥に強い草やハ−ブを維持するだけです。一方,皆伐跡地は灌木や樹木はもちろん広く変化に富んだ草やハ−ブを維持できます。伐採から1〜2年以内に,伐採跡地は通常草原よりもはるかに高い生物の多様性を持つものとなります。10年位でそれはますます立派に見え始めます。数年おいて,非常に醜かった皆伐跡地は,風によって運ばれてきた種から育って,美しい花の海に変わっていきます。醜く見えた時,皆伐跡地は悪なのか?。美しく見える今,皆伐跡地は善なのか?。それを単純に見て,美的眺望から土地の良否を判断することは重大な誤りであるということです。私たちはその土地の領域に全くふさわしい,幾つかの完全な状態があるかのように,自然を理想化しがちです。森林が生長するあらゆる異なる段階で,出現する種のさまざまな組み合わせが現にあります。若木に比べて老木には良いものは何もありません。理想的な状態は,風景の中に若い,中間,老いたあらゆる年代の森林を持つことでしょう。これは生息地の最高の多様性と,それ故に種の最大数がその地に生きる機会を提供します。与えられた土地において,全ての樹木を切り倒す時,森林伐採は確かに森林を破壊したように見えるので,林業にとって難しい問題です。不幸にして世論は,樹木を切り倒すことは本来森林破壊を引き起こすには十分でないということを理解していません。本当の問題は何かというと,森林が永久に取り去られる,すなわち若木ごと森林が破壊されるかどうかということです。しかし,最近伐採された森林の見苦しい自然は,結局生え変わりつつあるといっても,環境破壊として森林破壊の印象をたやすく与えてしまいます。

 一方,農地や牧場の田園風景は目を楽しませてくれるし,皆伐跡地の樹木の残骸が残る乱雑さに比べ,さっぱりして,整然としています。しかしながら,森林破壊の真の象徴は農地であり,牧場なのです。農地や牧場はずうっと以前,森林を切り開き,森林は食用作物や家畜の飼料に取って変えられたのです。しかし,たった5年間,農地を耕すことを止めたら,周りの木々から種が飛んできて,一面に実生が覆うはずである。80年も経つと,そこにかって農地があったこともわからなくなります。そのままにしていくだけで,その辺り一体は森林に戻ります。森林破壊は偶然に起き,そして永久に続く出来事ではないからです。林業によって森林破壊がめったに起こらないのは何故か,それは林業の目的が森林を再生させることだからです。森林破壊はほとんどいつも私たちの食糧を育てている優しい農夫や私たちのの住宅を造っている気の良い大工によって引き起こされます。森林破壊は邪悪な陰謀ではなく,60億人という増え続ける人口に食を与えたり,住宅を与えたりするために,私たちが行うさまざまなことがそうするのです。私たちは,悪人はいつも遠くにいて,別の言葉を話すと考えがちです。私たちは,悪人の行動を攻める全くその同じ事を行っているということを悟っていません。

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 森林の減少を防ぐ

 これ以上の世界の森林の減少をくい止めるために,林業とは別にできることが三つあることを知るべきです。

1.

人口管理。この世に住んでいる多くの人々,食料を必要とする多くの口,そして彼らを食べさせるため切らなければならない多くの森林。これは簡単な算術です。

2.

集約的な農業生産。北米ではここ50年間で,遺伝学や技術,害虫制御の進歩によって,同じ土地の面積で5倍も多い作物を育てたことを知られています。もし,私たちがこの進歩を図らなかったら,有効な方法ではないが,5倍も多い森林を切り払わなければならないか,これほどの作物を簡単に作れなかったかもしれません。再び算術の問題です。与えられた土地で,より多くの食糧を育てることができれば,それを育てるために失う森林が少なくなります。

3.

都市の高密度化。米国で続く森林減少の主な原因は,200 都市の見渡す限りの不規則な広がりと森林や農地の舗装への永久的な改変です。私たちが都市をより高密度で,より住み易い環境に設計すれば,森林を救うばかりか,エネルギ−や原材料の使用も少なくできます。

 新しく刈られた干し草の大きな束が,農地の外れに置かれている風景は,遅い午後の陽射しの中で,私たちの目を惹き付けます。干し草の束は,森林が破壊された土地の一部に横たわる,まさに枯れたセルロ−スの大きな塊です。牧草地には,非常に小さな生物の多様性しかありません。しかし,それは生物の多様性が高い周りの森林地帯よりも,多くの場合目を惹くでしょう。

 同じことが,花盛りの花畑の光景にも当てはまります。花屋のために花びらを完全に保つために,殺虫剤を規則正しく散布された,チュ−リップだけの栽培地の際立って美しい色は,私たちの目を惹き付けます。私たちは,数十種の郷土樹種,数百種の土着の鳥,動物,植物を含め,単調なグレ−グリ−ンの自然林にはほとんど気が付きません。

 私たちは,風景を見て,直視した印象以上のものを得,そしてほんの少し科学や生態学や生物の多様性を理解する新しい二つの目を大衆に与える必要があります。これは,木材工業にとっておそらくたった一つの最も重要な仕事でしょう。彼らは,その土地を美的に判断する同じ目で,環境の健全さを単純に判断しがちです。もし人々が醜いから林業は悪だと強く信じていれば,技術的,科学的情報を集めても,彼らの考えを変えてもらうことはできないでしょう。まず彼らは,土地の外観は生態系についての判定をするには本来十分でないということを理解すべきです。

 巨大な駐車場は究極の森林破壊です。自動車は人類が発明した最も破壊的な技術です。特に黒い材料を考えると。それは自動車の下にいつも見られる:アスファルト。石油精製所から有毒廃棄物を持ってきて,地球上のあらゆる所に撒き散らし,あらゆる生き物を殺し,乗用車やトラックが勝手に走り回ることが何故法律で許されるのでしょうか?。もしこれをトラックに積み込んで,許可を受けた埋め立て処分場に持って行ったとすると,有毒で危険であり,おまけに発癌性もあるため,処分場はゲ−トから入れないでしょう。埋めることは違法であるが,あらゆる生き物を殺しながら,薄い層にして,地球上に直接投げ捨てることは完全に適法なのです。これが法律上正当と認められた毒物投棄の世界最大のケ−スです。そして私たちは自動車べったりで,アスファルトでできた道路に依存しているために,それから目をそらしています。 0〜100までの尺度で生物多様性を考えるとすれば,駐車場はかなり0に近いということを認めるべきです。農地や牧場は,農地を作るために伐採され,焼かれ,栽培されている元の森林に比べれば,5〜10です。北米のいたる所で今日実行されている手法での林業は96, 98, 102 でさえあります。何故ならば,森林管理は人間の活動がない時以上に令級や生態系のタイプを広範囲にすることもあるからです。

 ためにするために,ごく最近の最も見苦しい,ひどく荒れた皆伐跡地にまともに焦点を絞って,数パ−セントしかない生物の多様性について,多くの論争や政治的圧力,ヒステリックな意見があります。真の極端な状態は,駐車場や他の森林破壊地域であって,再び美しい,新しい森林に間もなく再生しつつある,ごく最近伐採された森林ではありません。

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 正しい条理は何処に?

 これからの林業は,あらゆる主要産業の中で最も持続可能な産業です。そして,木材は疑いなく建築に使われたり,私たちの文明を維持するために使われる最も再生可能な材料です。不幸にして,これが事実だと思われていません。国連の林業に関する政府間パネル以前に,グリ−ンピ−スは,木材の使用量を減らし,その代わりに環境に適した代替品を採用するよう,国々に呼びかけます。代替品のリストは用意されていません。シエラクラブは,ゼロカットと米国内の国有林での商業林業を止めるよう呼びかけています。レインフォレストアクションネットワ−クは2015年には北米で使われる木材を75%減らすことを要求しています。私はこのアプロ−チを「少なく切って,少なく使う」と要約することが正しいと私は考えています。終生の環境保護活動家,生態学者として,これは反環境的だというのが,私の揺るぎない信念です。私たちの経済や社会にとっての林業の重要性はちょっと横へ置いといて,貧弱な環境的基盤に立って,「より少なく木材を使え」という政策は反環境的です。実際にそれは,気候変動と生物多様性維持の双方にプラスの結果をもたらす政策に矛盾し,全く反対することです。この信念について私の論拠を説明しよう。 まず,私たちは莫大な量の木材を使っているということを認識することが重要です。日常ベ−スで平均して,地球上の60億人がそれぞれ毎日3.5ポンドすなわち1.6Kgの木材を使っています。1年間では3.5億トンです。何故伐採を半分にして,広大な森林地域を伐採から救えないのか?。この明白な理論の皮相的な本質を説明するために,私たちはこのすべての木材で何をしているのかをみる必要がります。

 毎年使われる木材の半分以上は,物を造るためではなく,エネルギ−として燃やすためであるということに多くの人々は驚きます。木材用途の55%は,主たるエネルギ−源として25億人が頼っている熱帯地方の発展途上国では,主に料理や暖房のエネルギ−として使われています。彼らのほとんどは年間1,000ドル以下の収入であり,代替品を使う余裕はありません。しかし,彼らが燃料を転換する余裕がありさえすれば,いつでも石炭,石油,天然ガス等々,再生不可能な化石燃料に必ず転換するはずです。25億の人々が再生可能な木材エネルギ−から再生不可能な化石燃料に切り替えた場合,気候変動協定のもとで,化石燃料の過度の使用から二酸化炭素放出をどのように安定させようとするのでしょう。燃料木材の供給が現在の消費水準を維持できない場合でも,答はより少ない木材を使うことでも,再生不可能なものに転換することでもありません。

 世界中で使われる木材の15%は,住宅や家具のような,物を造るためのものです。あらゆる利用可能な代替品は再生不可能であり,その製造により多くのエネルギ−が必要です。木材は再生可能な太陽エネルギ−によって,森林という工場で生産されます。木材は太陽エネルギ−が材料に化身したものです。スチ−ル,セメント,プラスチックといった再生不可能な建築材料は製鋼所,セメント工場,石油精製所といった本当の工場で生産されなければなりません。これは通常多量の二酸化炭素放出という避けられない結果をもたらす化石燃料の大量投入を必要とします。エネルギ−や製造に毎年使われる木材の70%を代替品に転換することは,二酸化炭素放出を増加させることになり,気候変動政策に逆行することになります。

 伐採された木材の30%は主として印刷,包装,衛生用としてパルプや紙の製造に使用されます。これらの木材の半分は建築材を生産する製材工場の廃材です。残りの供給のほとんどは造林地からです。造林地の多くはかって農地として皆伐された土地に造られています。もしパルプや紙を造るための木材使用を止めたら,多くの森林を「救う」という効果がなくなってしまいます。

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 紙を造るための木材使用を止めて,麻,ケナフ,綿のような代わりの繊維を使おうという考えについては多くの人が聞いて知っています。「非木質パルプ」から造られた「非木質紙」は木材から造られた紙よりもおそらく環境にとってより良いものであろうと。私は学校や大学で講義をします,そして多くの若者たちはこれが環境改善にとって正しいアプロ−チだと信じているということを知りました。私は彼らに「あなたたちは麻をどこに植えるつもりですか?私たちの知らない別の大陸があるんですか?」と質問しました。違います。事実は,麻はこの惑星に,樹木を植えられる土壌に植えなければならないということです。

 最も単純なマツだけの人工林でさえ,どんな単作の農作物よりも野生生物,鳥類,昆虫にとって好ましいのは簡単な事実です。

 木材をより少なく使うという方針は,二酸化炭素放出の増加や森林地の減少をもたらす故に,反環境的であると,私は信じます。環境の釣合から,正しい方針は「樹をもっと植えよ,そしてもっと使おう」です。これは多くの方法でなし遂げることができます。

 第1に,世界の森林の何箇所かを工業的開発が生じない,永久に保護された公園や人の手を加えない特別保留地にすることが重要です。世界野性生物基金は,この目的のために,世界の森林の10%を割くよう提唱しています。おそらく15%にすべきです。しかし,ここで残りの85%の森林を,私たちはどのように管理すべきかということが問題となります。私たちはその領域での他の種のニ−ズを肝に銘じながら,より高い木材生産のために,より徹底した管理をしなければならないと私は信じます。現存する森林をより良く管理することによって,世界の木材供給を劇的に増加させることができるはずです。加えて,かって農業のために開墾された土地におおいに再植林することによって,森林の地理的広さを拡大すべきです。

 熱帯の発展途上国では,木材を供給する森林造成と同様に持続可能な燃料用木材を植栽する緊急のニ−ズがあります。国際援助プログラムをより一層つぎ込まなければなりません。

 化石燃料の消費から二酸化炭素放出を抑えるために,私たちが自由に使える最もずば抜けて強力な道具は,樹を植えて,木材を使うことです。例え木材が化石燃料の代替品として使われたり,工場で化石燃料を消費した建築材料として使われても,化石燃料の消費と二酸化炭素の放出を劇的に引き下げることができます。例えば,大火力発電所を考えて下さい。もし樹木を育てて,石炭の代わりに木材を使えば,発電所からの二酸化炭素放出のほぼ100%に近いものを相殺できるのです。石炭の燃焼は完全に100%と見做すのに対して,木材の持続可能な使用は二酸化炭素の正味の放出を0とするからです。もし環境論者がこの事実を認めれば,答はこの最も再生可能な資源の使用を減らすよりはむしろもっと樹を育てて,もっと木材を使うことにある,ということを彼らに必然的に信じさせるようになります。